境目でリユニオン

Life is but a dream.

風と夜の音。桜とあなたの名前。

届かない手

あの日を思い出して。今から遥か遠く。まだ本当に何も知らなかったころ。今にも眠りに落ちそうな温かさの中で。自転車に乗って走り抜けた。いつもより遠回りして、わざと用事があるふりをして、あなたを連れ出した。そして嘘。笑っているだけでよかった。飛行機の離陸する音で目覚めた。嘘。告白する理由なんてない。不思議なことは、あの時のあなたと同じくらい大切な人と、今またこの場所にいるということ。しかももっと大切な人をたくさん連れて。だとしたらあの日の私はここで何を思うだろう。そんな未来がやってくると知っていたら、この場所で何を話しただろう。

それでもあの日の私は同じ選択をして、同じ過ちを犯していたに違いない。

それは別れの挨拶

もう一度降りてくる飛行機の影の中に包まれて。小さな噴水ではしゃぐ二人を見つめる。バイクに乗ったり、人の気配を感じたり、ハンバーガーを食べたり。今となっては思い入れしかないこの場所に。またこうして公転速度を考えて。水平線に見える星のような輝き。カメラに映った2010年の電灯、バニラスカイのような破れた雲。

時が止まって満ちて、そして食べて熱を水に変えて化学反応。トンネルをくぐり抜けた先にあるご馳走を目指して。真夜中の車内の熱は、真夏の草むらに落ちて溶解。コンプレックスは今だけ忘れて作業に没頭。夕食はいつもの作り置きだった気がする。キノコが多めの器にとらわれているうちに、不意に受けた衝撃。罵声。それは別れの挨拶。

そして必然。当たり前の因果。そしてそれっきり、あとは風の中で気配を探る日々。

流行りの歌のせいにして、あとは綺麗なものだけ取り除き、わだかまりや不純物をこしていく。そうしておけば腐らない、誰も傷つけない。星が降る日また見にいくよ、あの飛行場へ。今度は冬でも大丈夫。もうきっと見失わない方法を見つけたから。手も離さない。

丸い閃光

顎を引き締め、もう一度壁に登ってジャンプ。窓に映る影に怯えないで。まずい料理は放っておいて、ボンダイブルーに目を奪われた。君の部屋に行こう。夜風にあたりに行こう、その先は暗闇。暗闇の先にある街灯の光。勇気を出してそっと飴玉を差し出す。世界一の悪党になった気分、全ての夜の王。

両腕回して花火の中でジャンプ。自転車の鍵を無くしたっけ。そのおかげで起きた奇跡をあなたは知らない。桜を見ながら知ったあなたの名前。花火に照らされるあなたの顔。あなたの名前をあなたの知らない私が知っている。いつか見たものに飽きてしまわないように、いつまでも見続けることにするよ。そうすればきっと見ていたことに意味が生まれる。夏の草むら、熱を帯びた瞼。